ミャンマーと聞いて何をイメージするだろうか?政治家のアウンサン・スーチーさんや民族衣装のロンジーなどだろうか。ミャンマーと聞いてサッカーを連想する人は多くはないだろうが、サッカーで言えば3月26日までAFC U-23アジア選手権2020の予選が行われ、久保健英、 板倉滉、三好康児などを擁するU-23日本代表がミャンマーで開催された大会に参加した。ちなみにU-23ミャンマー代表との試合は7-0で日本が勝利している。また、マニアックかもしれないが最近ではミャンマー代表のエースストライカーであるアウン・トゥがミャンマーリーグのヤダナボンからタイリーグ1のポリス・テロへ移籍し、タイリーグで大活躍。2019シーズンにはタイ屈指の強豪クラブであるムアントン・ユナイテッドに移籍している。
ミャンマーにもプロリーグがあるのかと驚く人もいるかもしれないが、ミャンマーリーグは2009年から創設され、2019シーズンは12チームでリーグが開催され、多くの外国人選手も所属している。リーグ優勝チームにはAFCチャンピオンズリーグ出場プレーオフへの出場権が与えられる。昨シーズンはヤンゴン・ユナイテッドが優勝を果たし、ACLプレーオフに出場。惜しくもタイリーグのチェンライ・ユナイテッドに敗れたが、ここ数年でアセアンの中でも力をつけ、国際大会でも結果を残している。これまで多くの日本人選手が所属してきが、今シーズンは3人の日本人選手がミャンマーナショナルリーグでプレーしている。
内田昴輔

2018シーズンからヤンゴン・ユナイテッドに加入し、今年でミャンマーリーグ2シーズン目を迎える。初シーズンとなった昨年は、リーグ戦と2つのカップ戦に優勝、ミャンマー史上初の3冠を達成し、AFCカップでもグループステージを突破するなどミャンマーリーグのクラブとして快挙を果たした。立命館大学を卒業後、大分トリニータ、FC琉球と日本国内でプレーした後、モンテネグロ、オーストリア、ラオス、バーレーン、インドネシア、ミャンマーと世界各国でサッカーをしてきた元Jリーガーだ。
松本憲

ミャンマーで7シーズン目を迎えるミャンマーリーグ最古参の日本人選手。日本では高校卒業後にジェフ千葉に加入、その後、シンガポールのアルビレックス新潟シンガポール、タイリーグのシーサケットFC、YSCC横浜、グルージャ盛岡を経て、2013年よりミャンマーリーグでプレーを続けている。
中村礼央

カンボジアリーグでアジアでのプロキャリアをスタート。その後、ラオス、モンゴル、インドと渡り歩き今シーズンよりミャンマーリーグのシャン・ユナイテッドに所属する中盤の選手だ。
ミャンマーリーグの外国人枠は3人。また、AFC主催の国際試合に出場するクラブにだけアジア枠1が与えられている。しかし、実際にはアジア人や欧州の選手は極めて少なく、アフリカ系やブラジル人選手が外国人枠のほとんどを占めている。そういう意味ではまだチームの戦術などがしっかりと整っていない中で、個の力で状況を打開できるような選手が求められているというのがミャンマーリーグの現状だ。
現在ミャンマーリーグは第6節までを終え、Hantharwady United FCが勝ち点13で首位、2位には中村礼央が所属するシャン・ユナイテッドがつけている。
なかなかスポットライトが当たりにくいミャンマーリーグだが、AFCカップなどでは上位に進出してくることも多いにあり得る。内田昴輔、松本憲、中村礼央、ミャンマーリーグで奮闘する日本人選手にこれからも注目したい。